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| 煙りか浪かはた雪か 遙かに見ゆるうす煙り 海原遠くながむれば 嬉しやまさに敵の船 溢るる勇気あさへつつ 待ちに待ちたる敵の船 砕きて打ちし黄海の 藻屑となさん時の間に 轟ろく砲の音すごく 逆巻く浪の音荒らし 海洋島の沖つ邊に はげしき戰起りたり 弱きをねらふ敵艦は 左りに右に寄せ來るも 續きて放つ我が砲に 敵の甲板人もなし 砕けやうてや敵の艦 残る艦なくならんまで 胸をば楯に身を的に 進めやうての聲高し 飛び來し敵の弾丸は 音凄まじく砕けたり 今までありし艦長の 姿は見へずなりにけり 砕けや打ての號令は 士卒の耳に残れども 今まで立ちし艦長の 姿は見へずなりにけり かよわき艦を進めつつ のこれる艦と戰かひて 榮ある戰に艦長は 榮ある死をば遂にけり 其身はよしや朽ちるとも 誉は朽ちじ千代八千代 赤城の艦の名と共に 赤き心ぞうたはれん |