鳴無神社A
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高知県内の伝説
二十一代雄略帝の四年というから今から千五百年の大昔、ある日、浦の内の里人達が朝起きてみると村の南の浜辺に一筋の煙が上っている。何だろうというので十四、五人が現場へ行ってみると、雪白の髪の立派な老人が一人食事の用意をしていた。海水を沸かし、木の実、獲ったばかりの魚を器用な手つきで次々と料理している。これで見たこともない老人だが、その堂々たる態度と近寄りがたい気品は唯人とも思われなかった。遠くからおそるおそるながめている村人を、老人はニコニコと手招いた。「私は一言主尊だ」と名を告げた。初めて見る神様である。平臥した村人達は、やがて一言主~を案内し波打際にあった小さなクリ舟を担いで山を越えた、金剛丸という舟だった。今の舟越山がそのときの山だという。その年の始め大和葛城山で難略天皇の大巻狩りがあった。天皇が獲物を見付け、弓を引こうとされるときまって横合いから白髪の老猟師が現れて邪魔をする、カンカンに怒って天皇は部下にその老猟師を賄えるよう命じた。調べてみると一言主尊だった。「怪しからん奴だ」と土佐へ追放に决ったという。釋日本記に見せる話である。
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