日本海々戦（其の一）

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日露戦役

敵艦見ゆとの信號

明治三十八年五月二十七日午前二時四十五分、五島白瀬の西方約四十浬の地點に於いて、哨艦信濃丸は東北東に針路を取りつつあつた敵艦隊を発見し、直ちに敵艦見ゆとの無線電信を発した。これが實に日本海海戦の序幕であつた。その後哨艦和泉より敵情の打電あり、次いで第五、第六、第三戦隊から敵の動静は刻々に連合艦隊司令部に報道された。この日東郷司令長官は、旗艦三笠に坐乗して鎭海湾にあつたのであるが、午前五時五分頃に至って敵艦出現の報に接するや、全艦隊に向って即時出動せよとの命令を下したのであつた。