各車の車輪と能力

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六輪自動車といふのは前車軸一本、後車軸二本を持ってをり結局三本の車軸に六個の車輪を取付けたもので、後方四箇の車輪の内二箇を起動するものと、四箇を起動するものとあるが、軍用としては後者が賞用せられる。四輪車に比較すれば貨物積載量も多く、凸凹不整地を通過し得る能力も遥に大きい。泥濘で車輪が空轉したり陥込んだりする恐がある時は、後方の二箇の車輪は一種の無限軌道を取付けて、障害物通過能力を増す事もできる。四輪起動四輪車は普通自動車と同様に四輪車ではあるが、發動機の動力を前後の四輪に傳へて、優れた不整地通過能力と大きな牽引力を持たしめたもので、少々の溝に落込んでも自力で這ひ上る事ができる。半装軌自動車は前輪は普通自動車と同様で、後方は車輪の代りに無限軌道装置を持ってゐる。無限軌道は車輪のやうに泥濘の中にめり込む事もないから、人間の歩き得るところなら大抵歩ける。また二十五度以下の傾斜なら楽々と登れる。速度は前二者に較べて小さいが平地で最大五〇キロ位は出る。装軌自動車は無限軌道のみに依って走り、坂路、不整地、泥濘を平気で突破し、塹壕でもその幅が自分の長さの半分以下なら無雑作に通過するといふ萬能車である。速度は大型のものは餘り速くないが、小型のものでは毎時四〇キロを超すものもある。装輪装軌併用自動車は、車輪と無限軌道の二種類の足を具備し、道路上においては車輪を以て高速度に、道路外においては無限軌道を以て自由に運行するもので、構造の複雑となるのは止むを得ないが、天下恐るる地形は無くなる。以上軍用自動車として必要な條件を説き、且つこの條件を満足する五種類の足について説明したが、これ等の自動車を軍用に供するためには、更に使用の目的に應じて、様々の設備が必要なのはいふまでも無い。例へば装甲自動車は敵を攻撃する設備と、敵弾を防護する装甲を持ち、病院自動車は患者を収容したり治療をする設備を持ってゐる。かく一般の乗用車や貨車と異なり、その用途に應ずる特別の設備をしたものを特殊自動車と總稱してゐる。以下その二三について説明しよう。

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