平時における毒瓦斯の利用

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毒瓦斯の用法

以上は瓦斯攻撃の要領を示したのであるが、扨毒瓦斯を以て人畜を殺傷せんとするには、一定以上の濃度を必要とするから、ある程度に瓦斯を集中する要がある。 若し獨逸が豫め十分これを準備してゐて、第一回の放射攻撃を前線に亙って敢行したならば、或いは戦勝の栄冠は獨逸の手に落ち、世界の局面を一變してゐたかも知れない。将来瓦斯攻撃は全く奇襲的に行はれるもので、その一回の使用量は數十噸、數百噸に達するであらうことは、決して夢想ではあるまい。しかしこのやうな多量の製造設備を、平時から特に準備して置くことは容易なことではない。従って各國とも毒瓦斯の平時用途につき大に研究して、害蟲駆除や、船舶汽車の消毒や、警察用等に使ってゐるやうである。要は毒瓦斯そのもの、止むを得なければ製造の中間體でもが、平時何等かの形で多量に使用されてをればよいのである。今や罪なき人絹、醫薬、香料、染料、肥料工場と雖も、一基の角型蒸留器、煙突、玻瑠壜を移動することなく、また新原料を必要とすることもなく、即座に化学兵器工場に轉換し得べしと称へられてゐる國もある。これこそ眞の経済的軍備でこんな點からして毒瓦斯は経済的なりともいはれるのであらう。

平時における毒瓦斯の利用

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