観音正寺観音堂
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高知市
高知県指定有形文化財
本寺はもと観正寺といい、柏尾山の山頂近くに行基がはじめ、その後二代藩主山内忠義が現在の場所に移して、名も観音正寺と改めたと伝えられる。観音堂は円柱の三間四方の仏堂で、正面の一間と側面中央をそれぞれ両開きの桟唐戸とし、ほかはすべて板壁である。正面一間には向拝をつけ、背面の一間をのぞいて柱間上に蟇股をつけている。屋根は寄棟造で、棟札によると明治の葺き替えまでは柿葺であったようである。内部は前方二間を外陣、後方一間を内陣とし、中央に須弥壇を設け厨子をつけている。頭貫や向拝の虹梁についた木鼻や、蟇股などの彫刻はきわめてすばらしく、特に蟇股に彫られた宝相花、梅、橘、牡丹、桃、枇杷、丁字、藤などは傑作とされている。建立の時期については、はっきりとしないだ、「山内家史料」や、堂内の「曳き馬の絵馬」の銘などから、慶安元(1648)年頃と推定されているが、建築様式からしてもこの時期とみてさしつかえないようである。材料、つくりともに上質の建物で、高知県における数少ない重要な建築物として、昭和二十八年高知県有形文化財の指定をうけた。
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