モンナ・リーサ
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レオナルド・ダ・ヴィンチ
パリ・ルーヴル美術館
1503〜06年
フィレンツェの市民フランチェスコ・デル・ジォコンドの妻モンナ・リーサは1479年生れ、ヴァサーリによれば4年以上もかかったというこの肖像畫は、1503年に始められたと考えられるから、その時は24歳であったわけである。この繪は單なる性格描寫である以上に、一婦人の人格そのものを描いている。時によつて種々變化する一婦人の魂そのものをその肖像のうちに描き込んだものである。だからこの女性は見る人によって各人各様に解釋される同じ人でも氣分によつていろいろに見える。同じ自然が氣分によつていろいろに見えるように。リルケはそのパリ便りに驚歎して書いている。昨日は彼女はかくかくに見えたが、今日は全く違うとか、この像は見る度にそのうちに新しい面と新しい深さを發見すると。ヴァサーリは、藝術が如何に近くまで自然を模倣し得るかをこの繪は示していると書いているが、豊麗な婦人の軟い肉つき、皮膚の觸感がそのままに見られるのみならず、そうした外形を通してそのうちに生きる魂までも再現しているという點で彼の言は肯綮に當つている。そしてそれは、モンナ・リーサの表情の變化の最大公約數を、形式化することなく嶌實的に、「喉をよく見るならば、脈の打つのを見ることが出来る」くらいに嶌實的に描くことによって達成されている。今は繪具が暗く變色しているが、描きたては皮膚の色も、夕暮とはいえ、より明るく生き生きと輝いていたであろう。ついでながら、眉毛を描いてないのは、當時眉毛を落とすのが流行だったかららしいと、ヴェルフリンがカスティリオーネのコルティジアーノを引用して書いている。
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