精度砲架安定運動性の增進
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近代の火力戰兵器は著しく精度が増進されて来た。精度とは精密の度合いと言う意味であって即ち広く約言すれば、銃砲弾薬類を以てする射撃に於て目標に良く命中すると言うことで、之がためには①銃砲咥内の設計精密製造、火薬の選択、弾丸及び其運動の適正を図ること。②銃砲咥外に於ける弾丸の運動と弾道（弾丸の経過する軌跡のこと）の適正を図ること。③銃砲類特に照準機及び照準具の設計製造を精密ならしむることである。又火砲の或るものに至りては、多数発射の結果砲咥内部に衰損をきたし、精度を低下した場合を考慮し、砲咥内部を薄肉管の構成として置いて、之を交換する方法も講ぜられるようになっている。又近代の火力戰兵器は著しく銃砲架安定が増進した。銃砲架とは銃砲身を載せてある架台のことをいうので、砲身から弾丸を発射した反動で此銃砲架が不安定であっては、折角の良い銃砲も命中が不良となり、且次の発射が遅れるから、種々と科学の応用により安定を充分増進する如くせられている。次に運動性の增進も近代の火力戰兵器の大特徴である。要するに軽くして運動し易く、銃砲種に依りては迅速に運搬する如き車両を準備するとか、或いは自動車に積載し、又は之にて牽引する等によって、運動性の増進が図られている。又種類によっては、分解して人力運搬が出来る如くなっているものもある。その他個々にわたると、設計及び製造技術上の進歩は実に驚くべきものがあって、続々と最新の科学が応用されており、又かような兵器類を経済的に造るということには、機械工具類の設備より工作法等の一切に至るまで、化学を基礎として実に不断の努力がせられているのである。
