貴族美術（時代の大勢）

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ＮＯ３

次に清和天皇の貞観八年紀の夏井土佐に流される。紀夏井は善�ｭの子なり人となり温雅にして才あり隷書をよくす、文徳天皇位に即くや召されて殊籠を蒙る、天皇崩ずるや出でて讃岐守となり治績大に挙る。貞観七年肥後守に任ぜられたがるが夏井の異母弟に豊城と云うものあり人と為り放縦にして伴善男とよし、善男、應天門を焼き豊城も之れに興す、夏井縁を以て土佐に遠流となった。この事績を土佐光長が描きて伴大納言繪詞の名畫となる夏井は香美郡佐古村亀山に到り母を亡ふ、草堂を立てて骸骨を蔵め佛教を崇びて大盤若経五十巻を読み以て三年の喪を終る、然して父母の菩提の為め父養寺と母代寺を建てその冥福を祈った、その邸跡は佐古村亀山に残っている。然し夏井の手になる遺物はない。