寶物瀬昇り太刀
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第三章武家美術時代
第二節建築
寶物の主なるものは瀨昇りの太刀と稱するものが秘藏せられてゐる。これは曽我五郎の所持せしもので曾我兄弟が富士の裾野に父の仇を復せし時五郎の供は土佐の日下村の者にて五郎の遺物を貰ひ歸りしと、それを忠義公ょり陽貴山に奉納せしものが此寺に傅はる、もと高岡の川に投ぜられ川の瀬を登りつつありしとの傳說で長さ約三尺の名刀である。昭和ニ年六月に內務省古社寺保存會委員にて刀剣鑑定家なる松平賴平氏が來つて同刀を鑑定せし所にょると無銘なれども頗る名刀にて鞘に張 りたるものは馬の皮を黑塗とし柄の金の打出し鮫と云ひ鍔の拵へが確に鎌倉時代の流行物にて少くとも元曆年間以後のものにあらずとの鑑定にてこの刀は棒鞘に收められてゐるが、この棒鞘も德川初期天和時代の風を殘せりとの事にてこの太刀は大分錆を生じ鋒子が餘程腐蝕してゐるから研工にかけて研ぐ必要があるとの話であつた。
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