伊野町椙本神社寶物

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第三章武家美術時代

第二節建築

二、神社建築

寶物には御神輿が一基ある、此の御神輿は當國に於ける現存せるものの中にて最古の銘を有するものにて昭和ニ年を去る六百六十四年以前なる弘長三年の銘ぁりて又優委の美術工藝を示現せるものでぁる、その高さは約四尺餘にて胴の直徑約三尺內外ぁる、元は白木造なりしを元祿年間に漆塗と せし由でぁる、頂上には黄色金屬製の鳳凰を乘せ露盤がぁる、屋益は正八角錐となり下端を曲線に上方に反らし特にその正八角錐の角をなせる部分に當る隅木は渦線狀に上部に反らせしもので屋葢の美觀を添へる爲めに、更に各隅の上部に金屬製並に木製の小禽をとまらせてあつて優美高尙でぁ る。屋葢の大体は黑漆にて塗り、頂上の露盤と正八角錐の稜の部分は金箔にて塗ってぁる上に眞鍮製の優美なる金具を施してぁる。胴の部分は正八角壔となり基底の部分は八方に緣を出し欄干を附 け寶珠柱を立ててぁるが更に前後左右の四面には朱塗りの鳥居を等距離に取り附けてぁる、胴の上 部には欄間がぁつて前後左右に扉がぁるがその扉は折り疊む樣に金具を取り附け、墨漆塗でぁる、 御神輿全体は大体朱と黑と金箔の三色にて塗り分けてぁるがその漆塗の品質がょい上に手法は勞カを惜しまず意匠を凝した痕が認められる、天井は格子天井にて白木でぁるが天井板は桐を用いてぁる、鉋のなき時代なりし故に桐の板は打破つたま、でぁる、而してこの神輿につき坂谷京大講師の鑑定にょれば頂上の鳳凰の胴と頭は鎌倉時代にて翼と尾は元祿時代の補足にて其他の金具も元祿時代のものなりと、然して此の御神輿は鎌倉時代に於る土佐の美術工藝を窺ふ尊い資料でぁる。神輿の銘に曰く、當所奉二杉本大明神之御神輿造立始二元日者、弘長三年太歲亥冬十月廿五日、日神壬申御棟上者、十一月二日日神時神卯卯尅也、彼用途結緣主者、澤田政所主馬允藤原助影、宮米五斛助成在之然間、是ニ神主神官等、令二合力一奉二此御輿新建立一處也奉始爲二王朝國史將軍家領家預所之御代官ー御祈禱上也、幷次第沙汰人敲次官等万次安穩快樂得二定壽ー故也、依二大明神之御位光一マシ進二御建立一如右、右馬允藤原助影、弘長三年太歲亥冬十ー月ニ日、願主等幷神主神官等大細エ藤左近太郞藤井友恒執筆文章生大昔眞能也、爲二後代之日記一如件。

須崎町八幡宮

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