三和村琴平神社絵馬殿

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第三章武家美術時代

第二節建築

二、神社建築

拜殿の左側には相殿なる住吉神社を祭れる繪馬殿がある、通夜殿と呼ぶも事實は繪馬殿である、文 久ニ年に起エせしも落成の祭典は明治四年四月に擧行した、瓦葺の入母屋造にて桁行十ー間、奥行 ニ間にて入ロには千鳥破風の意匠優秀なる向拜をつけ桁行九尺奥行三尺にて虹梁の上には龍と仙人を彫刻し虹梁の面には兎の波渡りを彫刻してあつて拳鼻は龍となり天井は格天井である、その社殿內には多數の繪馬が掛けてあつてその太さと數とに於て當國第一と稱するも决して誇張でない。蓋し明治以前にありては繪畫を一堂の內に陳列して之れを庶民が鑑賞する機關なる所謂展覽會の如きものはなかつた、藤原時代に歌合せと同時に繪合せと呼ぶ現今展覽會に相當するものは行はれたるも然しそれは貴族のー部分のものが行つたに過ぎない。然るに神社に於ける繪馬殿は往時の展覽會場であつて之れに繪馬を奉納せん爲めに作家を努力せしめたることは顯著なる事實である。然るにその畫題に於て三十六歌仙や、神前舞樂や能樂や唐獅子等を描きたる時代は氣韻に富みたる作風を示してゐるが元祿以後田舍芝居の流行につれ芝居の光景を描寫するに到つて繪馬の品位は低下し畫 家はその作風が墮落した、川田小寵や畫金(弘瀨友竹)の筆致の高尙なる氣韻に乏しき所以は茲に存する。

須崎町八幡宮

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