多郷村加茂神社本殿

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第三章武家美術時代

第二節建築

二、神社建築

棟札は多くあるが永正五年十ー月十六日津野元實の時のものが最も古い。ーの鳥居の左側に數百年を經過せし八百比丘尼の建立せし十三階の石階塔がある。花崗石を以て造り高さ一丈六尺餘、頗る珍奇である、この塔は甞つて野中兼山が高知の自己の邸宅に持ち行き庭園內に五年餘建てたりしが後再び返せしものである。靑苔滑にして古色蒼然としてをる。右側に銅製實物大の神馬を眺めつ、石段を上 ると、拜殿幣殿があるがこれは明治時代の建築であるから次章に讓る、本堂は楝札によると文政十三年庚寅四月十七日の再築で、大工楝粱は善十郞良連と吉本貞次及び外に小工十人である。用材は總て檜材で流造の枌葺で棟は箱楝となり千木、堅男木が高く天空に聳えて居る、そして菊花の紋を 棟につけて楝飾の鬼板は雲を刻してある。桁行は一間四尺、奥行は三間で本殿の屋根裏の垂木は地垂木の外方に飛檐垂木で繁垂木となつてをる。向拜の部分の桁の下は詰斗組となつて居り向拜柱の柱頭の斗組は秤肘木がニ重に重りて複雜になつてをる。虹梁の面には唐草を彫つてあり、中央の虹梁の上には三柏葉の紋に波の蛙股があり虹梁の兩端には龍の木鼻がある、向拜柱と虹梁との內側には波と龍との彫刻がある、向拜と本殿とは海考虹梁で繫いである、流れ破風の部分には上部に懸魚があり鰭に相當する處には菊の彫刻が頗る巧妙である。桁鼻の隱しには桐、鳳凰、牡丹、松、竹、梅等の優秀なる彫刻があり中央の楝木を受くるにニ重に斗組を戴いた、大瓶束がありその左右は大なる雲形の笈形で大瓶束の下端は結綿がある。梁の下には優美なる枝輪がありその外方にはニ手先の斗組があつて雲形の木鼻も附いてをる。斗間には牡丹、水鳥、松に鷹、菖蒲等の彫刻があり、正面の斗間には龍の彫刻かある。本殿の脇障子は東側が鷄に芭蕉、西側の脇障子は蘆に鵞鳥の彫刻である。四面の床上には欄干があつて逆蓮と實珠柱が立ててある。床下の外方には三つ斗があつて雲形の木鼻をつけ結構を盡してをる。

須崎町八幡宮

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