香美郡山田町八王子宮拝殿

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第三章武家美術時代

第二節建築

二、神社建築

現存せる拜殿の再建せられたるは、天保十三年寅の夏に起工し三年を經て弘化元年辰の年に落成したもので、その構造は柿葺となり入母屋造にて東、南、西の三面し千鳥破風を出してあつて、その 破風の下には各々軒唐破風を出して宏莊偉麗である、桁行は六間奥行三間にて建築の粹を盡してある。即はち三面の千烏破風の下には優秀なる懸魚と大瓶束があつて結綿を彫刻しその左右には波の蛙股がある。屋根はそぎにて非常に厚く葺き屋根裏はニ重とし地垂木の外に飛檐垂木を出し繁垂木となり、柱頭には複雜なる斗拱を出し三手先にて四隅には特に波の木鼻を出して意匠を擬し尾垂木もあつて木鼻が珍奇を盡してをる。三面の軒唐破風の懸魚は鳳凰を彫刻し向拜正面の唐破風の處は頗る嶄新なる構想により桁行ニ間奥行半間となつてゐるが、懸魚の部分には花を持ちたる天女に雲を刻み屋根裏は化粧屋裏とし虹梁の上には二見が浦に龜と龍とを連續的に彫刻しその兩端は拳鼻を龍としてある。虹梁の上を透彫の如く見せて詰組を施したるは當國にては稀れであつて複雜なる向拜の斗組にて變化に富んでをる。

池川町河島山神社拝殿

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