田野町八幡宮貴重なる圖書先導船圖

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第三章武家美術時代

第二節建築

二、神社建築

繪馬の構圖は全体が大船の圖で甲板上が二重層となり唐破風の屋藎を前後左右に三四箇所附け柱楹、屋根、欄干等が善美を竭し黑漆塗にて大部分は朱塗で大体が御朱印船かと見誤るが如き船である。船の各部を緑靑にて塗り到る處金具を取り附け金光燦然として輝いてゐる船のへさきに國書先導船と墨書せる幟を建て山内家の三柏葉の紋を船の所々につけてある。舟のへさきに舟子が十人位櫓をあやつり又舟のもとにも舟子が二十人ばかり櫓をこいでをる。甲板上の屋蓋內には室が多數に分れてゐて郡方奉行や家老の如き人物家臣廿餘人が上下を着し大小刀を帶び威儀正しく着席せるものにて極彩色の密畫である。この圖は昭和ニ年より二百十六年以前の揮毫になるものにて少しく剝脫しつつある。今後かくの如き貴重なる歴史の資料ともなる作品は縣又は國家に於て永久保存の必要を痛切に感ずるものである、次に堀如興筆寶曆三癸酉歲五月吉辰日の銘ある白馬の圖がある。幅四尺長さ三尺の大作にて極彩色を施し筆力剛健色彩艷麗頗る傑出せる狩野派の作品である。更に聖戢子守常筆、寛延四未歲九月、との銘ありて源賴政が鵺を射落し猪早太が之れを討取る圖も極彩色を施して構圖筆勢共に優秀である又文久三年六月吉日山城屋佐助寄進の銘ある虎早九の圖は古拙である、土佐近世の四條派,書家なりし柳本素石の父洞素筆、楠公櫻井驛の圖も見るべきものである。幣殿正面の見付の梁に幅ー間高さ五尺の大繪馬がある。旭に松樹ありて鶴三羽を描いてある、大部分剝落して百年以上經過せし如く見ゆ、構圖卓拔筆カ剛健で狩野派の繪であるが筆者は明かでない諸願成就の文字あるのみである。

潮江天満宮楼門

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