備前兼光の名刀

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第三章武家美術時代

第五節美術工芸

此の時代に於ける美術工藝品の今日に傳はれるものは、主として金属製の古鏡、刀剣、鐔、古鏡、鍔ロ、陶器、古代塗等である。これより古鏡を始め前述のものにつき逐次に基きてその特色と構造を述べて見やう。

二、刀剣

土佐の刀劍家とその作品につき記する前に我國の刀劍の槪略を窺ふの要がある。我國の刀鍛治の由來を尋ぬるに大寶年間より天慶年間までは斯界の第一期にして大和の天國が從來の方法を改めて一流を開き諸國に傳はつた。伯耆の安綱はその末流である、次に天曆より壽永年間までは第二期であつて備前長船の地に古備前一派か出來た。これは天國と安綱を折衷したものである。

次に山内侯爵家には長三尺余の備前兼光の名刀がある兼光は備前の長船の劍工景光の子にして孫左衛門と稱す鄕左文字志津等と同じく、正宗門下十哲の一人にかぞへられ、備前刀の最も銳利なるものなり、傳へいふ足利尊氏の西海に走るの時。備前を過ぎて兼光を召して刀を造らしめ試に兜鍪を斬りたるに手に應じて兩斷せしかば尊氏激賞して冑割と號せしとこの作は大刀姿巾廣く庵ふかく三楝もあり切先中なるも大なるもあり、鎬むねへ寄せいかにも丈夫に造るが此の人の長所なり、地肌梨はだ心もありて地の中に刃の影の如く白色なるもく肌に見ゆるは此の作の見所なり、大抵のたれ亂に足さき下がりに燒く、廣直刃もあり、大のだれもあり、正宗の弟子に成らざりし時は大略景色の風情にて小亂多し、此の作劍、くりから、梵字、神號など切りたるものあり彫は淺しされど備前物の彫の中にては深き方なり。土佐には名刃尙多く存すれども各神社の寶物の條に揭げ茲には省略して置くが刃劍を最も多く秘藏してゐるのは上八川の若宮八幡宮にて約一千佘口を藏してゐるが後章全社の寶物の欄に述べてある。

美術工芸

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