蔚山沖海戦敵兵救助
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日露戦役
敵艦リユーリツク終に沈没
午前九時遂にリユーリツクは火災を起こして舵機を損じ、且つ艫部に命中せる砲弾の為め、進退の自由を失ひ、艦尾は沈みて左舷に傾いた。他の二艦はリーリツクを放棄するの已むなきを勸じて北方に急航したが、宛もよし此時瓜生中将の率ゐたる第四戦隊は來りて砲撃を加へた。玆に於いて、上村艦隊の本隊は、リユーリツクの撃沈を第四戦隊に托して逃げ行く敵艦を追撃した。因みに第四戦隊は浪速(艦長和田大佐)、高千穂(艦長毛利大佐)の二艦より成る。斬て本隊は逃げ行く敵の二艦を追ふて砲撃したるが、敵は装甲巡洋艦にて損害の大なるにも拘らず、撃沈には至らなかったので、午前十時九分之れが追撃を中止し、再びリユーリツクの方に引返した。一方リユーリツクの前面に現はれた浪速、高千穂の二隻を輕侮して俄に行進を始め、且つ我艦に向って頻りに発砲したるも、我の砲撃益々急にして、敵艦は艫部より火薬庫への浸水甚だしく到底沈没を免れ難しと思惟し、上甲板より海中に投入せる将士あり、終に艦底の水栓を開きて自ら沈没を早めたのであつた。斬てリユーリツクは蔚山と長州角島との中間より少し北方に位置し、兩地より約四五海里の地點に於いて遂に沈没した。