マレー沖海戦

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(大東亜戦争)

屠られた英新鋭主力戦闘艦

我が海軍が渾然たる技術と精神力をもつて、英国東洋艦隊の旗艦プリンス・オブ・ウエールズ號と戦艦レパルス號を屠つたことは、我が海軍力の眞價を發揮したものとして齊しく世界各國専門家の注目するところ、實にプリンス・オブ・ウエールズ號こそは、英海軍がネルソン以来の傅統と誇りとをもつて、その技術を傾けて建造した謂はば英海軍そのものを象徴する最新鋭の主力戦闘艦であつたからである。キング・ジヨーヂ五世號とは姉妹艦で、昭和十六年四月竣工したばかり、基準排水量は三萬五千トン、十五萬ニ千馬力のバーソン式ダービンを据えつけ、三十ノット以上といふ戦闘艦としては驚異的な速力を有してゐた。その攻撃力の主體となる主砲は今時としては珍しい三十六センチ(十四インチ)砲を僅か十門もつてゐるに過ざないが、砲身から尻栓に至るまで全く改良された新式砲で、約九百キロの巨弾を齊射し、着弾距離は従来の三十八センチ砲よりも大きく、破壊威力は以前の四十センチ(十六インチ)砲にまさると誇稱してゐたものである。しかも同艦の最も大きな特徴は、對空防禦を思ひ切つて強化した點で、縦横各五列に銃身をならべたニ十五聯装といふ高角機銃を三基、二十聯装のを一基備へてをり、その他一キロの弾丸を毎分八百發以上發射するといふ自慢の對空ポムポム砲を四基据ゑつけてゐた。これ等の銃砲が一齊に火蓋を切られると、毎分六萬發以上の弾丸が出るわけである。また水線附近の装甲四十センチを誇ったこの不沈戦艦を撃沈した我が海軍の力は實に偉大なものである。又同艦は昭和十六年八月北大西洋上に於いてルーズヴェルト、チヤーチルの歴史的洋上會談の行はれた軍艦であり、且つ友邦ドイツのビスマルク號撃沈にも参加した。レパルス號は昭和十五年十月獨潜水艦のスカパーフロー襲撃の際辛くも撃沈を免かれ余命を保つてゐたものでその性能は、排水量三ニ、〇〇〇トン、全長七九四・ニ五呎、備砲十五インチ砲六門、四インチ砲十二門、四インチ高角砲八門、搭載機四機、速力ニ九ノット以上、一九一六年竣工。

本圖は海洋畫家松添健氏の筆になるプリンス・オブ・ウエールズが正に沈まんとする断末魔である。

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