火砲の構造と機能
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火砲卽ち通俗的に言ふ大砲は、威力の大なる弾丸を以て人馬を殺傷したり、又は種々な構築物ゃ艦船等を擊破する事を主耍なる任務とするものである。從つて射擊する目標の種類によつて弾丸威力の大小や、彈道的の性能や、運動性等が種種と耍求せられる。彈道的の性能とは簡單に言へば目標に對して弾丸を橫から命
中させるか、上から命中させるかと云ふ事である。橫の方向から命中させる事は、軍艦の舷側のやうな垂直の目標や、戰車のやうなものを破壤したり、又は曝露してる人馬を殺傷したりするのを目的とするのである。之が爲には彈丸に大なる初速(彈丸が砲身から抛射される時の速度)を與へて、弾道を低伸せしめ、大なる水平威力を有するやうにする事が必要である。このやうな射擊を平射と云ひ、平射を目的とした火砲を加農と云ふ。加農は初速が大であるから、遠距離まで射擊する事が出來る。彈丸を上から命中させる事は、掩體の陰に隱れてる人馬を殺傷したり、或は軍艦の甲板や掩蓋のやうな水平目標を破壤するのを目的とするものである。之が爲には砲身に大なる射角(射擊する時砲身にかける角度)を與へて、彈道を灣曲せしめ、彈丸を高い處から殆んど眞直に落すやうにして、大なる垂直威力を有せしむる事が必耍である。このやうな射擊を曲射と云ひ、曲射を目的とした火砲を臼砲と云ふ。臼砲は弾道を彎曲せしむるのが目的であるから、初速を小にして大重量の彈丸を用ひ、垂直威力を大にする。しかし小初速であるため、
遠距離まで射擊することは出来ない。