駐退複座機の構造④
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復坐機は後坐したる砲身を舊位置に復せしむる機構であって、發條を使用するものと、壓縮せる空氣又は他の氣體の張力を利用したるものとある。又固定式の砲架では斜面を利用したるものもある。しかし何れの構造のものでも、砲身の後坐「ヱネルギー」を一時蓄積して、後坐の終った後之を作用せしめて、復坐せしめるといふ點は同一である。第十圖に示した後坐機は後坐により、M室內の液體を1孔を通じてhなる壓縮空氣を收容せる室に送り込み、同室の空氣を更に壓縮して其壓力を高めて置き、後坐終るやその高上せられたる空氣壓力により液體を逆にM室に流出せしめ,活塞を壓して駐退管を舊位置に引き戾すのである。この際制限を加へずして復坐せしむる時は、加速度に依って復坐の速度が漸次增大し、終末に於て激突するから、之を適當に制限する裝置を附してある。圖に於て後坐により活塞桿內孔から節制桿が抽出されると、
C孔より流出せる液體の一部は、節制桿の抽出により眞空となったg室に流入して之を満たす。次に復坐を始めるや節制桿の頭部fはg室內の液を壓排しなければ進入し得ない。此の時g室の徑と箱制桿頭部fの外徑を適當に選定して置けば、壓排される液の抵抗により、復坐の速度を調節し、整々と復坐せしめる事が出来るのである。駐退機に使用する液體は、熱の保存量が大で膨脹係數が小で、尙寒地に於ても使用し得るため凝固點が低く、且溫度の變化に對し比重及濃度の變化が成るべく小なるものを必要とする。又駐退復坐機を組成してる金屬である鋼鐵及靑銅、黃銅並に緊塞部に使用せる護謨及革類等に對し、化學的變化を及ぼさなぃものである事を要する。現今使用せられてゐるのは、礦油又は「グリスリン」と水の混合液等である。