照準機と防楯②

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遠距離まで射擊し得る特別な施設を行はないで平射の最大五射角である四十五度附近まで照準得ることを要求せられるものと、迅速に照準し得る利益とから、多く齒孤式を採用せらるる趨勢にある。防楯は所謂楯であつて小銃彈や榴霰弾の弾子又は榴彈の破片に對し砲手を掩護する目的をもつて砲架に裝著してある。可成輕量で然かも大なる强度を要する故通常「ニッケル」「クロム」等を適度に配合して作られた特種の鋼板を使用し、其厚さは近距離からの小銃弾にも對抗し得るため六耗乃至三耗のものが多い。照準具は射角の附興及び方向照準の爲の道具であつて、近世のものは「パノラマ」式の眼鏡と射角又は射擊距離の目盛板と水準器とから成り立つて居り、各部が頗る精確なものである。固定砲架射擊の衝力に對する結構上から、砲身を後坐せしむる式と、砲身と砲架の一部を一體として後坐せしむる式とある。尙平射を主務とする加農と、曲射を行ふため大射角を附與する必耍ある榴彈砲、臼砲の砲架とは自然と形式を異にする。(第一圖及第二圖參照)即ち加農の砲架は水平方向の大衝力を受ける故、砲架の前方を堅固に押へて迎起に堪へる樣にし、榴彈砲臼砲の砲架は大なる垂直衝カに抗堪せしむるため、砲床に對する支面を大にして、衝カを廣表面に配當するやうにな つて居る。(第三圖參照)之等砲架の構造は大體砲身を抱いてる搖架と、搖架を裝載して砲身搖架の一體のものに射角をかける照準機を以て連結してる砲架と、砲架以上を載せて方向移動の出來るやうになってる架匡とぃふものとから成り立つてる。搖架の內部に駐退復坐機を收容してる事は勿論である。以上述べたのは近世火砲の搆造と、機能の概念にっぃて極めて常識的にお話したに過ぎなぃ。ー般科學が日に月に發達すると同樣に、火砲の構造も日進月歩である。之がため火砲の設計や製造に從事してる人々は時代の進.運に伴ふ處の優良なる兵器を作り出すために、日夜孜々として精勵して居るのである。

照準機と防楯

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