巴里を砲撃した火砲

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この射撃に使った火砲は、獨軍でこれを破壊してしまつたので、その眞相を知ることはできないけれども、戦後數年にして發表されたところに依ると次のやうである。砲身長は三六メートルで丁度十階の建物の高さに相應する。この砲身の後半部を更に口徑三八センチ、長さ一七メートルの海軍砲の砲身に挿入して一體の砲身としたもので、口徑は二一センチである。弾丸の重量は120瓩でこれを臺車によつて搬致し、扛起設備によつて装塡する。これを打出す装藥の重さは弾丸の重さよりも重く195瓩で、それの入る室即ち藥室の長さは三メートル六〇センチである。装藥の装塡は三部に分れ、五〇瓩及び七五瓩の火薬は各一つの絹嚢に包まれ、残りの七〇瓩の火薬は金属筒に収容されて込められる。砲身、弾丸、装藥等は写真に依って大體その概念が得られると思ふ。初速は千七百米毎秒で最大射程は120キロである。これに應ずる最大射角は五十二度であるが、それは空気希薄の空界に略々四十五度の射角で達するやうに、空間に投射される角度に相當する。眞空中では御承知のやうに投射角四十五度の時に最も遠い距離に達することができるから、空気の希薄な高空で射程を延ばさうと考へたのである。この120キロの距離に弾丸が到達するに要する時間は三分である。砲身に方向を取らせるのは、砲架を軌道上に轉動することに依ってなされる。砲床の設備には合計數百瓲のべトンと鋼鐡板とを要した。

巴里を砲撃した火砲

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