使用火藥

高知県の観光名所

高知県の観光戦争と日本軍艦集>使用火藥

火砲弾丸がその破壊力を逞しくなし得るのは、實にその使用してゐる火藥の爆發力によるのである。その大なる威力を如何にして遠く敵陣地において發揮せしめるかは、火砲と弾丸との研究にまつのである。現今火砲射撃に使用せられてゐる火藥は、發射藥、破壊藥及び起爆藥の三種に分類せられるのである。發射藥とは弾丸を打ち出すために用ひられるもので、他の火藥に比し比較的静に燃焼し、徐々にガス體に變じ、砲身中で餘り急激に壓力を高めることなしに、弾丸に高速度を與へ得るやうにできてゐるものであつて、大口徑の火砲においては、現在は「棉火藥を主とする無煙火藥」(棉を硝化しアルコール及びエーデルにて捏合し乾燥せるもの)、「ニトログリセリン入無煙藥」(グリセリンを硝化したるものを棉火藥に加へアセトンにて捏和せるもの)及び無溶劑火藥(ニトログリセリン及び棉火藥の混合物にセントラリットまたはウレタン等を加へ捏和し壓延せるもの)等を使用してゐる。これ等は何れもセルロイド狀の、長さ數十センチの帶狀、棹狀或は管狀としたもので、大氣中においてはマッチに依り點火すると、恰もセルロイドのやうに一方より徐々に燃焼するに過ぎないが、一度密閉器内において點火する時は、その發生ガスのため高壓となり、急速に燃焼し盡すものである。破壊藥とは弾丸中に充填して目標に到達したる際、後述の信管より火を取り、弾丸を炸裂せしめ、弾丸の破片及び自身の爆發壓力に依り破壊力を逞うするものである。これには黄色藥(ピクリン酸)及び茶褐藥(トロチール)等が用ひられる。大口徑の弾丸は内部を中空とし、その中に紙包として収容し或は直接熔填して使用するものである。起爆藥は以上二種の火藥の爆發を誘起せしめるため使用せられるもので、雷汞及び窒化鉛等が用ひられてゐる。このものは打撃摩擦等に依っても容易に爆發し得るもので、爆管と稱する小壺内に充填して發射藥に點火するに使用し、また信管と稱する小形の機構内に収容し、弾丸の頭部或は尾部に装着して破壊藥の點火に使用せられるものである。現今においては弾丸の速度を倍々增加するため、次第に發射藥も、多量に用ひられ、従來の榴弾砲においては發射藥は弾丸重量の十分の一に過ぎなかっったのである。また破壊藥もその目的物に依り破壊威力を增加するため、大口徑用の榴弾においては弾丸全重量の15パーセント以上も充填し得るものも少くないのである。

使用火藥

高知県の観光へ戻る  戦争と日本へ戻る 
昭和初期の兵器へ戻る