弾道の話
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弾道とは弾丸の通路のことで、火砲内に装填せられた弾丸が、發射藥の力に依り砲腔内を滑走する砲内弾道と、砲口を離れて空中を飛行し、目的物に到着するまでの砲外弾道と、目的物を貫通し破壊する侵徹弾道の三つに區分して研究せられてゐる。砲内弾道は砲外弾道性を良好ならしめ、且つ命中の精度を高めるため、火砲設計上最も大切なのである。砲身内に弾藥が装填せられ、發射藥に點火せられるときは、發射藥は外面より燃焼し、ガス壓は次第に上昇して弾丸は動き始めるのであるが、火藥ガスの發生する量が愈々多くなるため、弾丸を押し出す壓力も増加し、急速に弾丸は砲内を滑動し始める。その中に發射藥は燃焼し盡すが、運動を與へられた弾丸は、残りのガス壓で更に加速せられて砲口より飛び出すのである。一般に發射藥が早く燃焼し盡す程、弾丸の初速が一定し精度も良好となるのであるが、早く燃焼せしめると壓力が昇り過ぎるため、大なる砲身の抗堪力を要することとなるので、大口徑の重砲の如く大初速を要求するものは、大形の發射藥を使用し長く燃焼せしめ、比較的低壓で大なる勢力を弾丸に與へ得る如くせられるのである。