野戦砲
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野戦砲といふのは、野戦即ち運動戰に使用するのを主目的とした火砲であつて、野砲、騎砲、山砲、野戦輕榴弾砲及び野戦重砲等がこれに屬してゐる。その野砲は野戦砲の主砲であつて、火力戦闘の骨幹をなす火砲である。従って演習や行軍の機會に屡々われわれの眼に觸れるこの火砲は、平射を主務としてる小口徑の加農であつて、主に歩兵と共同して各種の戦闘に従事するため運動が最も輕快で、到るところ多數の弾藥を携行して歩兵の行動に跟随して行くことができ、またその射撃すべき目標である移動性を有する敵の軍隊に對し、威力強大なる射撃を行ひこれを壓倒殲滅し得るといふやうな性能を具備してゐる。野砲は勿論装輪式の砲火であつて前車と後車に分かれ、三駢即ち六頭の馬で輓曳する。後車は即ち火砲で、射撃する場合には前後車の接續を解いて地上に据ゑるのである。前車には射撃や行軍に必要な屬品や豫備品と彈藥を積載してをり、通常編成は火砲四門または六門と彈藥車數輛の外、觀測、通信に要する器材を積載してる觀測車、屬品豫備品を積載した豫備品車等を以て一隊をなしてゐる。射撃のためには長一名と砲手若干名を要する。砲手は各々分業で照準専門の者、閉鎖機の開閉と發射を掌る者、彈藥装填専門の者、信管の測合を主務とする者、彈藥の整理に任ずる者等に分かれてゐる。砲手は常歩で行動する場合は徒歩であるが、速歩や駆歩で行動する場合には、砲車や前車に乗車するのが立前である。