野砲の彈丸と速度
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野砲の弾丸は主として榴弾と榴霰弾であるが、遠距離射撃のためには尖鋭弾といふ、頭の尖った葉巻煙草のやうな恰好をした弾丸を使用する。これは空氣の抵抗を小にするためである。これ等の弾丸重量は何れも六瓩乃至七瓩位であるから、操用は輕易であつて大なる射撃速度を出す事ができる。射撃速度が大であるといふ事は、野砲の特性上極めて重要なる性能の一つである。今日の野砲の射撃速度は、毎分十六發位が最大である。しかしこのやうな速度で長時間連續發射を行ふ時は、砲身が過熱せられて早く衰損するから、目標の種類や射撃の目的によつて、至短時間に射彈を集中する絶對必要のある場合の外は、一分間7,8發位の速度に制限してゐる。野砲の全備重量は通常1800瓩乃至2000瓩である。射撃姿勢の砲車(放列砲車といふ)の重量は、輓馬輓曳のものでは、操用の便と全備重量の關係から1600瓩位を最大限とする。歐洲戦争前は1000乃至1200瓩位であつたが、今日のものは威力が增進したため重量も增加し1200瓩乃至1600瓩に達してゐる。また大威力を附與したる結果に伴ふ重量增加の對策として、若くは大なる運動性を附與してこれを機動的に運用せんとする目的を以て、輓馬輓曳の代りに自動車牽引をなすもの、または砲をその儘自動貨車の上に積載して運動をなすものがある。