山砲

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山地戰を目的として生れた火砲であつて、野砲と同一任務を有してゐる。山地においては良好な道路の無いのが通常であるから、野砲の運動は困難である。山砲の特性は山地の険峻な地形やまたは水壕が縦横に存在してをつたり、或いは水田が錯雑してゐて良好な道路の無いやうな土地において、運動が自由自在な事である。山砲は良好な道路を運動する場合には一馬または二馬で輓曳するが、坂路や難路では必要に應じて馬數を增加する。若し道路が無かつたりまたは甚だしい悪路で、輓曳して運動する事が困難な場合には、砲車を數箇に分解してこれを馬脊に積載して行動する。このやうな構造であるから、馬も行動し得ないやうなところでは砲手の臂力によつて運動する事もできる。即ち山砲は軍隊の行動し得る範圍はどこでもこれを随伴せしめ得るというても過言ではない。右に述べたやうな運動性を有せしめるためには、自然重量の制限があり、餘り大なるものとする事はできない。即ち放列砲車の重量は400乃至600瓩位、特別大威力のものでも800瓩位が限度である。あいかして駄馬の負擔量は、駄鞍と駄載品とを合して約150瓩が標準であるから、分解した部品の重量は最大100瓩位となる。従って分解駄載の場合、一門の火砲のため六頭乃至八頭の駄馬を要する事になる。山砲の口徑は騎砲と同様に一弾丸の効力及び彈藥補充の關係を顧慮して、通常野砲と同一口徑にしてある。しかるに駄載の關係上、砲身の重量は100瓩内外にしなければならぬため弱装薬を使用するから、野砲のやうな初速は出し得ない。従って野砲に比較して有数射程は短縮するが、弾道が彎曲するから一方において友軍や障害物を超過して射撃するのに便利である。最大射程は5-8000メートル位までである。

山砲

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