射撃砲の性能④

高知県の観光戦争と日本軍艦集>射撃砲の性能④

その三は初速の大きいことである。初速が大きければ經過時間が少いから射撃の結果が射撃則の假定に一致し、且つ射高(弾丸の達する高さ)を大にすることができる。現今高射砲の初速は7センチ級において毎秒850メートルに達し、10センチ級においては毎秒1000メートルにも達するものがある。またその最大射高は7センチ級において普通8-9000メートルであるが、中には12000メートルに達するものがあり、10センチ級においては14000メートルにも達するものがある。その四は駐退機である。後坐長(發射瞬時に反動のため砲身が後退する長さ)を短くして、後複坐の時間を縮めて發射速度を大にし、且つ大射角にても砲身が地面へ衝突するのを避けるのが多い。また高低射界が大きいから、小射角のときは後坐長を大にして水平衝力を小にし、大射角のときは後坐長を小にして砲身の地面に衝突するのを防ぐやうに、その作用を變へる駐退機もある。その五は平衡機である。高射砲は高低射界が大いから、弾藥装填位置をほぼ同一の高さに保つため、且つ大射角においても後坐の餘地を存するため附仰軸は重心より可成り後方にあるから、附仰軸前後の負重を平均して操用を便にする。これがためこの平衡機なる装置を備へてゐるのである。その六は照準具である。既に述べたやうに、第一圖においてAの飛行機を覘つてAに射弾を送り得るのは、この照準具の御陰である。基礎の諸元を照準具の目盛に合せて眼鏡を以て飛行機を覘つてさへゐれば、砲身は機械的に絶えずAに向ってゐるのである。近時電気的に中央指揮所から示される分畫または指針により、火砲に所望の方向、射角を附與する電気式の照準具もある。以上高射砲の性能を述べた、尚飛行機の行動に應じ迅速に且連続的に操用し得るため、一般の結構が輕易でまた分業の区分も多くなつてゐる。

射撃砲の性能④

高知県の観光へ戻る  戦争と日本へ戻る 
昭和初期の兵器へ戻る