歩兵砲及び迫撃砲

高知県の観光戦争と日本軍艦集>平射砲と曲射砲

以上に述べられた各種の砲を見ると、何れもその射距離が大であり、一發の弾丸の持つ爆發威力も極めて大であることは既に御承知のことと思ふ。そこでこれらの火砲さへあれば、何時如何なる場合でも何等の不自由もないから、小さな弾丸で射距離も短い歩兵砲のやうな火砲は不用ではないかと考へられるかも知れぬが、長槍を振つての戰でも、手許に跳込めば刀の必要がある如く、また小銃の撃合ひでも結局は銃劍を閃かせて突撃をする如く、各々の距離に應じて手頃な武器を使用せねばならぬので、大威力、大射程の多くの火砲のある間に、この小さな歩兵砲が生れて来たのである。この歩兵砲といふものは歐洲大戰までは全く無かったといつてもよいもので、大戰中機關銃の異常な發達に伴ひ、これを破壊すべき何等の道具もない歩兵の唯一の味方として、平射歩兵砲が考案された。これは曝露した敵の機關銃、歩兵砲や手輕な防禦設備の後方にあるこれ等のものを平射彈道で破壊せんとするもので、大いにその價値を認められた譯であるが、防禦設備の直後にある敵に對しては効果十分でなく、また自分の前方に一寸した邪魔物、土地の隆起建物等のある場合には、射撃ができないことになるので、非常に彎曲した彈道を持つ曲射砲が必要となつて來たのである。平射砲は輕い弾丸を大きな速度で打出すのであるが、曲射砲は相當重い弾丸を比較的小さな速度で打出すのである。今その例を舉げると、平射砲―弾丸重量0瓩七、初速六00メートルで、曲射砲―弾丸、弾丸重量四瓩、初速二四0メートル。といふやうに異なる。なほ両方の相違はこの外に弾丸の直徑にあり、曲射砲の方が大きい。これは多量の爆藥を持たせるに便利であるからである。

歩兵砲及び迫撃砲

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