平曲兼用砲

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第一只同じ弾丸で平曲射兩様の射撃をしようといふもので英國や佛國で研究され、中々便利なものであるが、その性能は曲射としての方が優れてゐるやうである。第二には口徑の異つた二つの砲身を持ち砲架を共通にしたもので、一つは平射用の小口徑砲身で他は曲射用の比較的大きな口徑の砲身であつて「チェコ・スロバキア」國や和蘭、英国等で製造された。戦車射撃の威力も相當であり、曲射の威力も大であるが、二種の異った口徑の弾丸を持たねばならぬので、結局砲火一つを節約し得るに止るが、この形式のものにはなほ二種類があり、一は砲身を二個同時に一つの砲架に載せてゐるもので、直ちに何れでも使用でき、他の一つは一個砲身を載せてをり、他の一個は別に携行して必要に應じて交換使用するものである。支那軍が南京における觀兵式に堂々と馬で輓いてゐた歩兵砲は、實はこの後者に屬するもので、和蘭から購入したものでないかと思はれる。なほこの外にこの二つの型式を一緒にしたやうなものがあつて、これは一つの砲身(曲射用)の中に他の砲身(平射用)を挿入して持ってをり、平射の時にはその儘使用し、曲射の時には小口徑の砲身を脱して使用するやうになつてゐるもので、前述の「チェッコ」で製造したものがあり、これは射撃の時には兩側の車輪を倒して床板の代りにする面白い構造を持ってゐる。

平曲兼用砲

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