英軍の中型輕装甲旅團
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曩に述べた第二の思想を最も熱心に主張してゐるものは英軍であつて、現在實設部隊はないが、将来は中型及び輕の兩種装甲機械化兵團を設ける企圖をもつてゐる。中型装甲旅團とは中型戦車(最新式は十六噸)を中心とし、輕戦車(昨年三噸戦車を試製)直接支援戦車(未だ制式はないが中型戦車と同様な車に臼砲、榴弾砲等を載せたもの)對空戦車(高射火器を載せた戦車)等を配合したもので、歩兵の決戦攻撃に協力するが、佛軍と異なり歩兵に分屬せず、終結して初めより努めて敵の側背に向け使用するを建前とする。輕戦車は先行して敵情を捜索し、敵の火力殊に對戦車兵器の火力を牽引し、これに續く中型戦車は敵眼を避け、迂回して不意に敵の側背を突撃し、この間直接支援戦車は榴弾または發煙彈を以て敵を制壓し、或いは我が中型戦車の行動を秘匿する。戦車は装甲よりも寧ろ高速度に不規則な行動に依って、敵火の損害を避けるに努め、敵前において直進しないやうにしてゐる。これが最近の英軍の戦車戦法である。輕装甲旅團は輕戦車を該心とし(要すれば装甲自動車を附す)直接支援戦車、對空戦車等より成るもので、完全に機械化した一種の騎兵である。即ち単獨に或いは騎兵團と協力して捜索、敵の前進遅滞、要點の占領、敵線弱點の突破、敵線破口の擴張、追撃等に任ずる。右の如く一般に中型装甲旅團は決戦に、輕装甲旅團は機動に任ずるが、特に有利なる地形において、兩者は相合し、これに一部の歩兵、騎兵、砲兵等が、合はつて獨立して作戦する事が出来る。