各種爆薬とその威力
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火薬の初めから現在まで
爆薬は誠に多種多様であるから、次に代表的のもののみを述べる。黄色藥とは石炭酸に硫酸を作用せしめ、更に硝酸を以て化成したもので、爆藥中優秀なるものの一である。その威力は硝石硫黄、木炭を混合せる黒色藥に比較すれば約六倍半に当ってゐる。概念的に砲弾の爆発した跡、鉄道の破壊などによつて爆薬が猛威を逞うする事は誰しも知ってゐるが、学問的に威力を決定するには厚い鉛の筒の中で、少量の爆薬を爆発させ、鉛の膨大した容積を測定して知る方法がある。前述の黒色藥との比較数値は、これを基礎とした。以下この種記述は本例に依る。茶褐藥の威力の約五・七倍に相当し、現今賞用されてゐる。茶黄藥、黄那藥はその名の如く黄色藥を主剤とし、茶褐藥二硝基「ナフタリン」を添加したもので、破壊威力は黄色藥と大差がない。茗亞藥は一名「テトリール」と称し、「メチールアニリン」を硝化したもので、破壊効力は黄色藥茶褐藥に優るけれども、有毒、價不廉、鋭敏過ぎる等の缺點がある。硝斗藥及び硝那藥は何れも硝酸「アンモン」を基剤として、これに前者には三硝基「トルオール」を後者には二性基「ナフタリン」を混和したもので、その威力は寧ろ黄色藥に勝ってゐる。中にも硝斗藥は有毒瓦斯の発生が生いから、坑道、戦用火薬に有用である。鹽斗藥及び鹽那藥は鹽素「カリ」を基剤とし、これに「ニトロ」化合物を混和したもので、威力は劣るが鋳鉄製弾丸に入れられ、その炸薬とするときは、有効破片を増加する利益がある。が衝撃摩擦に對し鋭敏で、発射の衝力が大きな弾丸には用ゐられない缺點がある。右の外棉火薬「ニトログリセリン」硝安爆薬「ラカロック」「カーリット」等、枚挙に遑がない程多種に至ってゐる。