焼夷劑、火焔放射器
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細菌兵器と焼夷劑、火焔放射器
焼痍劑としては、往古より包囲作戦中可燃材料を使用し、住民及び建造物に對し、火箭、點火せる炬料、白熱せる炭、瀝靑及び樹脂の燃焼塊のやうな、焼痍擲射物を投じたものである。しかしながら、最も複雑なのは「ギリシャ火」であつた。
1914年10月、「フイムス」病舎の門前に落された焼痍爆弾と、1918年獨逸の発明した「エレクトロン」爆弾とは、甚だ相違がある。後者は約5乃至10リットルを容れる石油罐からなり、二個の突起があつて、その先に燐及び二硫化炭素を基とする小探知器を備へ、信管の用をなす。エレクトロン爆弾は「マグネシヤ・テルミット」と「アルミニウム・テルミット」とを主劑としてゐるやうで、三千度に近い温度で燃焼し、信管で一旦點火せられたならば、消化の方法がないのである。これ等は敵軍後方の軍需品集積地、敵の抵抗拠点たる家屋、村落等を焼き祓つて、敵の企圖を挫折するために用ふるもので、砲弾として火砲によつて發射したり或は投下爆弾として飛行機より投下するのである。これは我が國の如き木造家屋の多い國では、一大脅威といはなければならぬ。火焔投射器は輕便消化器のやうな工合に、火焔となるべき液體または気體を放射し、これに點火して火焔を敵に浴びせるもので、主として近接戦闘に用ひられる。