學界に未知の放射線

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電氣的威力兵器

學界に未知の放射線を使用するといふ發明は、若し事實とすれば偉大なる功績である。實用効果は兎に角、未知の放射線を發見したといふ事實だけでも、學界の驚異であらねばならぬ。之を要するに本問題に關する世上の勸察は区々であつて、中には明日にも新兵器として出現するやうに解し、或は全然架空捏造の説として涼しい顔をする向もある。然し前述のごとく理論的には一端の眞理を認むべきであるから、全然之を否定することはできない。特に各國共巨額の経費を投じ、極秘裡に研究に没頭してゐる今日に於いてをやである。嘗て山を透して前方を見る眼鏡はできまいかといふ問題が出た事がある。光線の性質から考えて到底出来さうもない相談であつた。所が欧州大戦には高さ30米もある高柱鏡ができて、山の向ふが見えるやうになった。之は山を透したのではないが、目的は達し得たのである。そこでもつと高い山や海山千里の彼方を見たいといふ望みが出る。之も近頃「テレビジョン」で解決されつつある。怪力線も其考は誠に結構なもので、只其實現が困難といふだけである。出現さへすれば如何に精巧なる機械も其用をなさざるべく、今日精鋭をされ、忽ちにして屑鉄と化するであらう。そこで今後の努力は、山岳透視に對する潜望鏡や、「テレビジョン」に相当する手段に、一轉せらるべきではあるまいかと、思考するものである。

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