有線電信②

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有線電信電話

有線、無線、地中無線は共に電気応用の通信器である。一般に通信と称せられる各種の方法の中で、最も迅速で重要なものはこの電気的通信である。有線は中でも特に軍用通信として主要なものであるが、これには電信と電話がある。今甲通信所で電鍵を押すと、電流は点線のやうに流れ、乙通信所の電磁石は磁化されて相対する接極子を吸引し、次に甲通信所の電鍵を離すと、電池との連絡が斷れて電流が来なくなるから、乙通信所の電磁石は磁力を失って接極子は發條の弾發力で引き離される。即ち甲通信所の電鍵を作動することに依って、乙通信所の接極子は上つたり下つたりするから、甲通信所の電鍵がモールス符号通りに動けば乙通信所の接極子も、モールス符号通りに動くことになり、その運動をそのまま音や字で表はすことによって、通信することが出来るのである。

有線電信②

有線電信は以上のやうに直流を使ふので、敵に取られる心配が無く軍用として最も価値の高い通信法であるが、通信線の絶縁を十分にする必要があるので、設備が複雑になり簡単を第一とする戦場の第一線には向かない。それでその使用は後方部隊に限られる。軍用有線通信では、通信設備の無い戦場に新たに通信線を張ることが大仕事であつて、有線が無線に対して不便であるといはれる點であるが通信文が輻輳して一本の線では処理し得ないやうな場合に、もう一本通信線を張る代りに唯一本の線で數通の電報が同時に送受信出来るやうにしたものだある。これが即ち「多重通信器」といはれるものがある。

有線電信②

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