重巡戰隊の展張する大煙幕
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「煙幕えんまく」 はちやうど烏賊が墨を吐いてその所在を眩ますのと同じ手段である。しかし烏賊のは強敵に恐れをなして行ふのであるが軍艦のはさうではない。軍艦や駆逐艦(飛行機も盛に行ふ)の煙幕は一時これによつて味方の艦隊を隠蔽して敵の眼から之を離してその射撃を妨害し、一方味方の態勢をより有利に轉換させたり、又は煙幕を展張する艦自身それによつて敵の意表に出でたりする等に使はれるものである。これは最新一萬噸級巡洋艦「高雄級」戰隊が張りつつある大煙幕である。煙幕はどう云ふ仕掛で張るかと云ふに、巡洋艦又は驅逐艦はその主燃料である重油を不完全燃焼せしめるのである。即ち燃料は完全に燃焼する場合は煙量は極めて少ないが、これが不完全に燃焼するとそれだけ煙の量は多くなる。更に完全燃焼から急激に不完全燃焼に移る場合はここに見る如く壮絶なる大煙幕となつて完全に彼我對陣間に障壁を作つて敵の視野を遮断してしまふのである。又飛行機が薬液を用ひて行ふ煙幕のあることは巳に一般の知悉するところである。