口径及び射程の増大
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近代に於ける火力戰兵器の威力増進の第一に数えるべきは、口径の増大である。これは銃砲の咥内経(即ち弾丸の中径)増大をいうものであって、機関銃の口径を増大すると結局機関砲となる訳であるが、最近では三十七粍とか四十七粍口径の機関砲が容易に出現するようになって来た。又火砲に(大砲のこと)於いては、口径五十糎の如き大きなものが既に欧州大戦の末期に出来ており、将来に於いても口径は益々増大せんとする傾向を持っている。かくの如く大きな口径に進むことは、常識的にいわゆる「ゲンコツ」の大きなもので打撃しようというのに外ならぬので、大きな「ゲンコツ」が小なる「ゲンコツ」より威力の大なることはいうまでもない。威力増進の第二は射程の遠大である。御承知の通り戦は先般の上海に於ける市街戦の或る時の如く、敵に極めて接近してやることもあれば、満州の如き広漠たる原野で、程良き距離で戦うこともあるが、又常識的に考えていわゆる「ゲンコツ」を撃ちつけるに成し得る限り長きひじを用いるが如く、銃砲より射撃する弾丸が出来る限り遠くに届く如くして戦う必要がある。この意味に於いて射程は出来得るだけ遠大なのが要求されて来る。近頃は七十五粍口径の砲弾で、十四粁(三里半)に達し、十糎口径では二十粁(五里)十五糎口径では二十六粁(六里半)二十四糎口径では五十粁(十二里半)長射程砲では百五十粁(三十七里半)に達する火砲が出現して来たのである。