支那の古鏡の特色

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漢鏡は六朝以前の品にて漢代の鏡と稱し總て墳墓ょり發掘せられーも傳世のものはない。その特色 を擧ぐれば

1、   この時代の鏡は必す圓鏡である。

2、  この時代のものはその質が白銅が主にして靑銅のもの少しく存す、この二種以外になし。

3、  當代の鏡面は著しく凸面である。

4、  此の時代のものの背面には各區に多くの境界線を有し乳狀の突起が多い。

5、  鈕は他の時代よりも太くして高く半圓球狀にして鼻鈕ど稱せらる。

 6、  銘文を有するもの多い。

 7、  鏡背の模樣は神像、人物、怪獸、龍、鳳等によりて成立つものご、幾何的圖案なる三角形放 射線、雷紋よょり爲れるものとある。

六朝鏡とは吳、晋、宋、齊、梁、陳の時代のものにして中古藝術の勃興せんとするときにして左の特色を有す。

1、   この時代のものには圓鏡と花鏡どある。

2、   この時代の鏡背の模様は漢代のものの如く複雜ならず、簡捷なる人物の類を附す。

3、  鈕が割合小にして乳も亦低きものが多い往々環狀乳を有す。

4、  質は白銅である。

5、動物其他の模樣が雄健にして流暢である。

萄葡鏡は支那六朝時代以後に於て西方亞細亞と交通開けたる結果としてべルシャ方面ょり輸入せられし形式にして唐代に於て行はれたる如し、その特色は左の如し。

 1、   この鏡には鏡背に細密なる葡萄唐革を一面に附して其の間に小禽、走獸の態を配して海獸を現はしたるものを海獸葡萄鏡と云ひ、狡猊を萄葡の間に表現せしものを狡猊萄葡鏡と云ふ。

2、  その鏡の鈕は獅子形をなしてをる。

3、   周緣に飛雲の狀を示すものがあつて槪ね圓鏡にして稀に方鏡である。

4、    この質は白銅質にして銘文を有しない。

唐鏡は漢民族が東西兩洋の文化の粹を集めた最も藝術の發達せし時代どて鏡も意匠極めて發達し、 製作亦雄麗であつて質に銅あり、銀あり七寶を嵌入するあり形には圓形、葉形、花形等があつた。 その特色を舉ぐれば

1、   この時代の鏡背の鈕は花形を普通とし鼻鈕のものあれども漢鏡より著しく小にして低い乳なきを普通とする。

2、   前代の如く鏡面が凸ならず殆んど平面である。

3、   銘文あるものは殆んど小數にて楷書多く文章なし。

4、   紋樣は巧妙なる唐草を自由に配合し麒麟、走馬、鳳鸞、小禽、胡蝶、寶相華、人物、飛雲等 を現はし。これを配置するに相對せしむるにあらざれば、紐を中心として輪轉の位置となせるものが多い。手法流暢にして謹肅である。

5、   鏡の形狀多種多樣にして品質も種類多く銅鏡以外に銀鏡あり鐵鏡があつた。

宋鏡は宋代の鏡にして製作が前時代より劣つて居つて紋樣亦趣味に乏しい、その特色を擧ぐれば、

1、   鏡背の紋様には雙龍、雙魚、|童子、神仙、蓮華、賓相華等のものを主どして現はしてある。

2、   銘文があつて大抵隸書又は楷書である。

湖州鏡は宋元時代のものにして楊子江の河岸に位せる浙江省の湖州より產せしものにして漢代には 丹陽と稱し鏡の製作地として名ありこの鏡の特色は次の如くである。

1、    この鏡は圓形、方形、葉張、花形、柄鏡等多種類である。

2、   製作粗雑にして簡單なる小形の鼻鈕がある。

3、    表面には何等の紋様を施さず長方形の輪廓內へ湖州眞石家念ニ叔照子、又は湖州眞石家ー色

靑銅鏡など字句に相違ありど雖も、殆んど同意味の銘文を楷書にて鑄出せり、稀に湖州云々の銘のあるのもある。

明淸鏡は前期なる宋元の模倣をなし只形式を追ふに止まり獨創的部分なくその製作は拙劣となり、 見るべき點がない、質に於ても黄銅となり低下してをる。

古鏡

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