朝鮮鐘
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我國に傳來せる朝鮮鐘中に鎌倉初期以前のものには彼地なる唐、後周、高麗、遼、宋、金等の年號を鑄造せし銘あれどもそれ以後のものは多く我國にての後銘である、その特色を擧ぐれば、(一)龍頭に管即ち旗挿あること、(ニ)肩とロ邊に唐草文樣 の帶を繞らしたること、(三)肩の帶文様の下四方に唐草文の周緣を有せる乳の間あること、(四)袈 裟櫸はなく飛天の陽鋳を胴部に現はしたること、(五)撞座は二箇所相對し或は三ヶ所又は四ヶ所あることなどである。土佐金剛頂寺にある朝鮮鐘は我國にてニ十有餘の著名なる朝鮮鐘の中にて最も小なる點に於て珍し きものである、卽ち高さはー尺八寸七分にて底の直徑はー尺四寸三分である。その外觀は龍頭に管があつて肩とロ邊の模樣は寶相花の唐草模樣にて高雅にして優美なる圖案である、胴の上部の乳の 間を取圍みて實相花の唐草模樣がある。胴の部分には寶相花の紋がニつ前後に對照的に存し菩薩形 の佛身がニ軀づつと迦陵噸迦がニ軀宛對照的に鑄て現はしてある。梵鐘の全体の形は比例權衡照應 の美を表現し色調の古雅掬すべきもの後世藝術作家の永く模範となすべき価値を有するものである。
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