庶民美術時代⑤
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第四章庶民美術時代
第一節時代の大勢
庶民美術時代とは德川慶喜が大政奉還し明治大帝が踐祚せられた明治元年より昭和ニ年までの六十年間であつて我國の美術が殆んど奇蹟的なる進步發展を遂げたると共に土佐の美術も空前の發達を
なして非常なる革命が行はれた、それは從來の美術なる、建築、彫刻、繪畫、美術エ藝並に書道は總て武家の支配の下にありて彼等は朴訥粗野にして美術を解せず之れを賤しめ美術に才能を有するものありしも研究の機關なく封建制度の爲めに他國修業不自由にてあたら有爲の天才も徒らに尋常彫物師、陶工、工匠の群に投じて墮落するを常とした。然るに當代に入り武家が亡びて士農エ商の階級が撤廢せられ四民平等となり封建鎖國の制度は廢せられて藝術、科學、の砑究が解放せらるるに及んで、鄕土の美術は全く庶民の手に落ちて空前の發展を遂げるに到つたのである。

